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伝記『暴かれた秘密』その3〜アンジェリーナ・ジョリーの『象牙の塔』と『三歳児神話』について

アンジェリーナ・ジョリー伝記『暴かれた秘密』


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アンジェリーナ・ジョリーの伝記『暴かれた秘密』(アンドリュー・モートン著)を読むと、彼女のファンは少なからずショックを受けます。それは、この伝記が彼女の薄幸な幼児期の記述からスタートしているからです。それが『象牙の塔』です。
 
その薄幸な幼児期がアンジェリーナ・ジョリー(以下、「アンジー」と記します)の破天荒な人生〜自傷行為、ドラッグ、奔放なセックス〜を決めてしまっているとの印象を持ちながら、読者は『暴かれた秘密』を読み進めるのです。
 
でも、それは真実なのだろうか…という疑問もあります。そこで『三歳児神話』について触れることにします。
 

2つの伝記について

日本語で読めるアンジーの伝記は2つあります。
 

  1. 『アンジェリーナ・ジョリー 彼女のカルテ』
    • 著者:ブランドン・ハースト
    • 訳者:長澤あかね
    • 発行:(株)ブルース・インターアクションズ
    • 初版:2008年8月25日
  2. 『アンジェリーナ・ジョリー 暴かれた秘密』
    • 著者:アンドリュー・モートン
    • 訳者:柚木しょうこ
    • 発行:ぴあ(株)
    • 初版:2011年3月26日

 
サイト管理人「シネマファン♪」(以下、「私」と記します)は、[1]からはじめ[2]を読み進め、2冊とも何回か読んでいます。
 
[1]はアンジーファンとしては大変興味深く面白い伝記です。でも、伝記としては「普通」でしょうか。
 
一方、[2]は『週刊文春』のスクープ記事を読むときのようなワクワクというかドキドキがあるのです。それくらいスキャンダラスなのが[2]です。そして、[2]は構成においてもスキャンダラスを前面に出すものになっているのです。

『象牙の塔』について…

『アンジェリーナ・ジョリー 暴かれた秘密』(以下、『暴かれた秘密』と記します)は16章からなる伝記で、これにプロローグと著者あとがきが付きます。そして、プロローグタイトルが『象牙の塔』なのです。この『象牙の塔』という文言を見ただけでは内容が想像できないでしょう。
 
ところで、『暴かれた秘密』の各章の冒頭には著名人や関係者たちの言葉引用からスタートします。それらの引用は、その章の内容を暗示し、印象づけるものになっています。そして、プロローグ『象牙の塔』にも、引用があります。

何があっても、子どもはそれを理解することなくやり過ごしていく。これは幼少時代の落とし穴の一つだ。そして何が起きたのか、理解できる頃には、心の傷はすでに深くなっている。
〜スペインの小説家 カルロス・ルイス・サフォン〜

 
ここで幼少期における子どもの在り方〜環境〜がその子の将来に与える影響が大であるということを暗示しているわけです。その「仕打ち」は取り返しが付かない…?
 
そして、プロローグ本文に入ります。最初のパラグラフだけ引用しますね。

そこはがらんとした殺風景な部屋だった。白いカーペット、白いカーテン、白い壁に囲まれ、置いてある家具といえばベビーベットだけ。一年以上、この部屋で女の子の赤ん坊は寝かされ、寄せ集めのベビーシッターたちが入れ替わり立ち替わり世話にあたっていた。ほとんどのベビーシッターは売れない役者か、顔見知りで、仕事は時給三ドルで二十四時間体制だった。

 
ここまで読んだ方はお気づきでしょう。殺風景な部屋でベビーシッターに世話をされて育ったのがアンジーなのです。伝記の冒頭がコレですから、読者はショックです。そして、アンジーの母親が育児に、ほぼほぼノータッチだったことが綴られています。アンジーはネグレクト(育児放棄)な母親の元で育ち傷ついた…。
 
そして、この殺風景な部屋が、グリム童話に登場するラプンツェル〜高い塔に閉じ込められた女の子〜と重ね合わせ、『象牙の塔』と言われていたことも紹介されるのです。合わせて、当時のベビーシッターによる「アンジーの母親の育児に対する批難」が紹介されています。
 
すでに伝記『彼女のカルテ』を読んでいた私には、アンジーの人生は、20歳くらいまでは破天荒だったというインプットがなされています。でも、それがどういう原因かはわからなかったのです。
 
しかし、伝記『暴かれた秘密』のこのプロローグを読んで、「そうか、アンジーの破天荒な人生のおおもとは、この象牙の塔にあったのだ」と合点がいったわけです。いや、少なくとも、そういう「誤解」をしながら、読み進め始めたのです。しかし、思い返せば、それが『暴かれた秘密』の著者の思惑であり、ある意味、読者を冒頭から幻惑していたのかもしれません。
 
いずれにしても、著者は、冒頭のプロローグで「破天荒なアンジーの人生の因果関係らしきものを暗示すること」からはじめたのです。この暗示が強烈なので、読者は最後まで「それ」を引きずってしまうのです。
 

『三歳児神話』とは…

ところで、『三歳児神話』というのをご存じでしょうか。

  • 子どもが3歳になるまでは母親が子育てに専念すべきだ。
というものです。言外には「そうしないと子どもに悪影響を及ぼす」というものが潜んでいます。
 
そして、日本においては、この『三歳児神話』が流布されて母親たちの苦悩〜職場復帰・社会復帰が遅れる、育児疲れなどから生じる鬱〜につながっているというのです。
 
アメリカにおいても『三歳児神話』があるのかどうか調べましたが、よくわかりませんでした。しかし、伝記『暴かれた秘密』のプロローグの在り方を見る限り、少なからず『三歳児神話』らしきものはあるのだろうと推測します。『三歳児神話』的な世間の理解がないと、あのプロローグは効果薄でしょうから…。
 
さて、この『三歳児神話』ですが、どうも根拠薄みたいなのです。つまり、「子どもが3歳になるまで母親が子育てに専念すること」と「ネグレクト気味の子どもの将来」との関連性が見いだせている研究は「ない」ようなのです。
 
そういう背景があって、1998年の「厚生白書」では「(三歳児神話について)少なくとも合理的な根拠は認められない」と記載をしています。さらにその後の国会で政務次官が「三歳児神話というのは、明確にそれを肯定する根拠も否定する根拠も見当たらないというのが事実」と答弁しています。

『三歳児神話』を否定する…

伝記『暴かれた秘密』の展開について、誤解を恐れずに要約します。

  • ネグレクトで薄幸な幼少を送ったアンジーは、当然の帰結として破天荒な10代を過ごすに至った。
  • その傾向は20代前半まであったが、作品との出会いがアンジーを変えた。
  • アンジーは社会貢献に目覚め、今に至る…。
 
大変な人生を乗り越えたアンジーに拍手…みたいな…。
ここまで極端にまとめると「気持ち悪さ」が伝わるでしょうか(笑)。
 
どんな人であっても、また、その人のどんな時期においても「黒白(いいわるい)を明確にできるものではない」のです。誰でも「いい部分」もあれば「いいとは言いがたい部分」も同時にあるのです。そして、それらは幼少期を起因とするものもあるかもしれません。しかし、そうでない、つまり、幼少以降の本人の意識的な努力や無意識の怠惰に起因するものが大半なのかもしれないのです。
 
もし、幼少期の母親の育児の在り方がその子どもの将来を決定づけてしまうとしたら、「不幸にして幼少期に両親がいない子は全て、転落の人生を送る」ということになってしまいます。極端な例ですが…。
 
そろそろ、「否定的見解」をまとめますね♪
 
伝記『暴かれた秘密』における著者の思惑は「幼少期のネグレクトがアンジーの人生に大きく関わっている」というイメージを読者に植え付けることで、読者が最後まで読み進める動機づけ〜推進力〜にしようとしていると私は感じています。
 
しかし、ネグレクト気味な母親がアンジーにあたえた影響は少なからずあるものの、アンジーの人生にとって、それが最大の影響因子ではない…と思うのです。アンジーは、人生のさまざま岐路で悩みながらも、自らの意思で選択してきたことが伝記『暴かれた秘密』でも読み取ることができます。
 
もし幼少期でその人の人生が決定してしまっているとしたら、人生はとてもつまらないものになってしまうでしょう…。

『三歳児神話』を肯定する…

さて、『三歳児神話』を否定したあとに、肯定です(笑)。
 
しかし、これは『三歳児神話』を肯定するか、否定するかの二者択一ではありません。どんなことでも、ものごとを二者択一で判断すると間違います。『三歳児神話』についても同じ。否定する部分もあれば、肯定する部分もあるというのが実体でしょう。
 
悩みなどのカウンセリングをすると、すべてとはいいませんが、それらの悩みのおおもとが親に行き着く場合があるのです。幼少期の親との関係性が大人になっても無意識に引きずられて少なからず問題を起こしています。
 
幼少期の親との関係性が問題のおおもとであった場合、それは様々な手法で癒やすことが可能です。今回の記事はそれが主題ではありませんので、癒やす手法の詳細は端折ります。
 
このことからすると、アンジーの10代の破天荒な行動の数々は、やはり少なからず幼少期のネグレクトが影響しているとみてもいいでしょう。つまり、自傷行為やセックスや薬に明け暮れていたとき、まさに、アンジーはカウンセリングが必要な状態だったのです。
 
アンジーの場合は、伝記を読む限り、両親ともにネグレクト気味でしたので、ことは深刻です。しかも、小さい頃から、両親の異性に対するいろいろな破天荒な部分〜ある意味、だらしなさ〜を見てきたのですから…。
 
アンジーがきちんと育って、そして、社会貢献にも目覚め…という「流れ」が奇跡と思えるくらい、アンジーは苦しい10代を過ごしてきたことに驚きます。これは『三歳児神話』の否定にもつながりますが…。
 
そろそろ、「肯定的見解」をまとめますね♪
 
『三歳児神話』というのは少なからずあります。そして、それは無意識にその人の言動に影響を与えます。なので、何かの問題にぶつかって、動けない状態になったら、迷うことなく専門家のカウンセリングなどを受け、もし、そこに幼少期の親との関係性の問題点があるのなら、きちんとした手法で癒やすことがいいと思います。

まとめ

この記事では伝記『アンジェリーナ・ジョリー 暴かれた秘密』における「作者の隠れた意図」を二者択一的に捉えるのではなく、それを否定する視点と肯定する視点から考えてみました。
 
それにしても、アンジーは幼少期や青年期に様々な問題を乗り越え、なかなか素敵な熟年期に今あることを改めて感心した次第です。ブラッド・ピットとの関係性が今後どうなるのか、少し心配ではありますが…。
 
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いつも、読んでいただきありがとうございます。
シネマファン♪
 


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